想い出のコンサート
絶対に忘れられないコンサートについて書かせてもらいます。
1993年11月30日(火) 東京厚生年金会館 JA共済Presents
バンド名: Smily Maejima & Hello Goodbye
森高千里: Recorder, Vocal, Guitar, Piano, Drums
前嶋康明(Band leader): Keyboards, Chorus
松尾弘良: Guitar, Chorus Toshihiro Tsuchiya: Drums
横山雅史: Bass, Chorus
河野伸: Keyboards, Guitar, Chorus
長い長いツアーの最終日。前日も行ったのだが,ツアーの最中であっても,2日のウチ最初はややおとなしくなる。最後なのにまた盛り上がりが今一つなのだろうかと,少し不安になる。会場前が前日と違った雰囲気になっていた。ダフ屋は最終日のチケットをとんでもない高値で売りつけていた。
場内に入り,2階席へと向かう。私が森高ライヴに足を運ぶようになってからは、東京では中野サンプラザが多いので新鮮な感じがした。あちこちにTVカメラやマイクがセッティングされていた。今回のライヴを余すところ無く収録するためである。職業柄、機材のことが気になって双眼鏡で眺めたりしていた。
場内の雰囲気がおかしい…。妙にざわめいている。すでに,興奮しているのが伝わってくる。こんなことは初めてだ。お馴染みの“パン屋のおじさん”がかけ声をかける。会場はそれに応え歓声と拍手が湧いた。この他にも、あちこちで歓声や拍手が何度も起こった。
会場の照明が落とされ,すでに見慣れた緞帳が上がっていく。おなじみとなった森高さんのドラムソロでライブが始まった。この時すでに,興奮は最高潮に達していた。耳をつんざく掛け声が渦巻く。まるで、アンコールの時のような凄まじさだ。会場中の一体感が凄い!こんなレベルまで盛り上がったコンサートは見たことがない!!強烈な興奮に包まれて,ライブが進行していった。明らかに,森高さん自身も興奮しているのが分かる。楽しい!うれしい!誰もがこのひとときに全てを忘れて没頭している。ほんとにあっと言う間に時が過ぎていった。
その後、森高MLの皆さんの話を聴くと、昔の学園祭コンサートでは相当な盛り上がりだったらしい。しかし、私にとっては開演前にこれだけ盛り上がっていたライヴを未だに知らない。
何度も色々な人に話したことだが,私はこのコンサートで引退してしまうのではないかとさえ思ってしまった。まるでラストコンサートのような雰囲気だったのだ。会場にいた誰もが長いツアーを森高さんと共に歩み,ツアー最後の日を迎えた。そんな,今日が“最後”なのだという想いが吹き出ていたためだろう。もうこれ以上は応援できないだろうという状態が最後まで続いた。「森高はライヴを見なければ!」と言われるが、私は見に行くのでもないし、聴きに行くわけでもない、参加しに行くのである。森高さんは会場がノればノる程、元気が増すのである。そんな、森高さんを応援しに行くのだ。一緒に歌い、踊る。腕を回し、拳を突き上げ、叫び、跳ねる!気分爽快である。こんな興奮状態はそうそうあるものではない。
しかしアンコールで,更にボルテージが上がっていった。至福の時とはこういうことを言うのだろうか。そして,終わって欲しくはないと思う気持ちと,もう少しだ頑張れ!という気持ちが複雑に胸を埋めた。アンコールを終えて,ステージを去る森高さん…。しかし,私たちの感情は抑えきれなかった。もう一度,もう一度…。
会場に千里コールが響きわたった。こんなに綺麗に揃った千里コールがあっただろうか。
我々は決してコールを止めようとしなかった。絶対に出てきてくれる。
それは私たちの確信に違いなかった。そして,森高さんが再びステージに現れた。
ダブルアンコールは「コンサートの夜」だった。ツアー中ずっと、ダブルアンコールが続けられていた。つまり予定通りの進行なのである。
「これで最後なんだ。」
別れの時にも似た寂しさと、何度も行ったこのツアーの事を思いだし、すべてを出し切る時が来たことを噛み締める。そして、その刹那-----。
途中で歌が途切れた。会場が湧く。またトチったのかな? 舌でも出していないかと双眼鏡で表情を伺う。しかし、そこには目を疑いたくなるような森高さんがいた。なんと泣いているではないか!!
森高さんが泣くなんて…。ライブはいつも盛り上がるが、それまでに私が行ったコンサートでは泣いた事なんてなかった。信じられない。
いつものトチリだと思って湧いた会場は涙で声を詰まらせる森高さんのフォローに変わった。「コンサートの夜」をみんなで唄った。みんな叫んでいた。泣いている森高さんを見て長かったツアーに対する気持ちが痛いほど伝わって来た。本当にお疲れ様。よく頑張ったよね。ありがとう。心の中を熱いものが埋め尽くしていった。会場の熱気は暖かい風に変わった。森高さんを包み込む暖かい風に…。涙があふれてきた。
森高さんは涙をこらえながら一所懸命唄っていた。あと少し。頑張って!
まるで、長い42.195キロを走り終えるマラソンランナーを見ているようだった。
そして、森高さんはゴールを切った。歓声が上がる。森高さんがそれに応える。
「応援してくれてありがとう。また、見に来てね。」
「本当に頑張ったね。楽しいステージをありがとう。絶対に、また来るからね。」
そんな想いが言葉を超えて交わされ続けた。
ステージを降りる森高さんの表情が素晴らしかった。それを見て,よかったなあという気持ちで一杯になった。
会場が明るくなり,コンサートの終了を告げるアナウンスが流れる。三本締めが行われた。サンタクロースのような格好をした女の子のグループが元気良く叫んでいた。いつもなら足早に駆け出ていく人が結構いるのに,この時は帰ろうとする人は少なかった。みんな,ずっとそこにいたかったのだろう。何度も三本締めや掛け声がかかった。
もしかしたら、また出てきてくれるかもしれない。そんな、名残惜しさが蔓延していた。うれしそうな、楽しそうな顔、顔、顔…。一緒に行った“滅多に感動しないと言っていた後輩”も感激で一杯のようだった。
「ちさとちゃん!一年間どうもお疲れさま。ありがとう!!また来年も来るからねーー!!」
パン屋のおじさんの叫びに、共感の拍手・歓声!
私にとって今までに最高だったこのコンサートの模様はLD&VIDEOになっています。是非,見て下さい! そして,この日の興奮と感動が少しでも皆さんに伝わりますように…!!
曲目
オープニング~ドラムソロ( Lucky 7 Blues )
1.手をたたこう
2.ロックンロール県庁所在地
3.ファイト!!
MC
4.地味な女
5.友達の彼
6.ライター志望
MC
7.道
8.ストレス
9.私の夏
MC
10.風に吹かれて
11.渡良瀬橋
12.さよなら私の恋
13.I LOVE YOU
MC
14.ハエ男
15.私がオバさんになっても
16.テリヤキ・バーガー
アンコール
17.雨
18.Memories
MC
19.この街
ダブルアンコール
20.コンサートの夜
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